おもしろ噺 イトゥリ山脈の砂金

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アフリカに行く前<ピグミーの森>と言う本を読みチャンスがあれば是非訪れたいと強い興味を抱いていました。ナイロビ(ケニア)に滞在して居たとき、日本人の旅行仲間からピグミーの森に流れる川から砂金が取れると聞きました。一か月くらい頑張ればマッチ箱一杯取れて、それがロンドンで10万円程で売れるそうです。急に山師根性が燃え上がってきました。目指すはイトゥリ山脈の砂金。ケニアからタンザニア、ブルンジ、ルワンダ、ウガンダを通りピグミーの森へのルートを取りました。あれから36年が経過したので詳しい地名を覚えていないことをお許しください。ハッキリ覚えているのは、カンパラ(ウガンダ)でUSドルをブラックマーケットで両替(公定レートの7倍?)して、カンパラインターナシヨナルホテルに泊まり豪遊した辺りまでです。ウガンダのナショナルパーク(多分?ルウェンゾリ 国立公園)の中で直ぐ近にカバが沢山見える事を聞き、カンパラからルウェンゾリ 国立公園へ向かいました。バスは1日1便で約5時間、国立公園のバス停で降ろされ、運転手にホテルの場所を聞くと、入り口からホテルまで8kmあり、運が良ければ車が来るかも!? 国立公園の地図を見ると、確かに入り口からホテルまでかなりあります。 1時間くらい待ちましたが車が来るような気配は一向にありません。よお~し歩こう!! 車道があるので迷う事はないでしよう、ただ注意するのは木登りライオン、ライオンが木の上に潜んで、突然襲って来ます。しっかり靴を履いているので蛇もサソリも怖くありません。木の上を注意しながら小走りで辿り着きました。さすがに国立公園内のホテルなので、部屋が綺麗で眺めが素晴らしく、目の前に大きな川があり、そこにカバが沢山やってくるようです。まず、溜まった洗濯物を洗ってベランダに干し、次の洗濯物をしてると背後に生臭い殺気を感じます。振り返ると、1.5mくらいある大きなサルが洗濯物の上に座り、私の顔を見ると身震いし、オシッコをして、さらに部屋に入って来てバックパックを掴み中身を物色します。近くにあったキャンピングガスコンロ、棒、椅子などで脅してもビックリともしません。慌ててフロントの人を呼びに行くと、全然慌てず、何も武器を持たずやってきました。サルは黒い顔を見るなり飛んで逃げました。黄色人種の私は友達、アフリカ人は天敵と思っているのでしようか??。そしてカバは餌付けがしてあり、夕方の6時ころ20頭くらいやってきました。出発の日はバス停まで送ってもらいピグミーの森へと向かいました。

バスの中で如何わしいザイール人と知り合い、しばらく行動を共にすることになります。彼も盛んに砂金の話をして、砂金は国が管理しているから気おつけろ!気おつけろ!、見つかったら刑務所に入れられる。その日の夕方、イトゥリ山脈の麓町に到着、日が暮れてくると町は真っ暗、省エネで夜になると町の電源が全て消されました。見受けるのは暗いローソクの炎と焚火のあかりだけです。翌日、バスに乗って更に人里離れた森の奥へと向かい、途中でバスが掘っ建て小屋に停まります。そこはレストランで全員食事をしなければなりません。150cmに満たないピグミーがフランス語で<ボン・ジュール ムシュ>、タバコをぷかぷか吸って、顔に入れ墨をしています。それもそのはず、ザイール(コンゴ共和国)はフランス領でした。メニューは選べず、出てきた料理は肉の煮込み、肉が筋っぽくて硬いので、なんの肉か聞きましたが、言葉が通じないので分かりません。ピグミーのウエイターが私の手を引っ張って庭に連れ出し、そこに猿の毛皮がぶら下がっていて、それはサル肉煮込みでした。急に体が毛深くなるような気がしました。食事休憩から夕方まで走り、ピグミーが住む小さな部落にたどり着きました。そんな村にも円形藁葺小屋のホテルがあり、取りあえずはそこに落ち着きました。ところが水道はなし、トイレもありません。歯磨きや顔は近くの川の水、トイレはどうしよう?地元の子供に聞くと地面に開けられた丸い穴を指さします。囲いも何もありません、踏ん張って用足しを始めると、子供たちが集まりジーツと見つめています。ウンチは一旦止めて夜にトライすることにしました。懐中電灯で昼間の穴を探し踏ん張ると、なんと夜は蚊の大群が押し寄せ、あちこち刺されて痒い痒い!! 翌朝、如何わしいザイール人の先導で、砂金取りのザルを持った4人組を見つけ同行させてもらいました。男女とも腰巻をしているだけで、上半身は裸、ピグミーの女性の胸当たりに視線が移ると、素早く手で乳房を隠します。私の眼つきがいやらしいのか、ピグミー以外には見せてはいけないのか?それとも女性の本能でしようか。男性は獲物取りの吹き矢とナイフを持ち、女性が麻の食料袋を頭からひもで背中に担ぎます。この日はサルには出会えず野鳥にトライしましたが、残念ながら命中しませんでした。やっと川に到着して砂金取りの手ほどきを受け、夕方まで頑張りましたが、小さな欠片が数個取れただけでした。ピグミーの説明では、この辺りは取り尽くされて、殆ど残っていないと言われました。マッチ箱一杯の夢を諦め先に進むことに決め、イトゥリ山からキサンガニへ向かいました。