06/MAY/2015 No002 地中海の本マグロ

 

地中海の本マグロ(クロマグロ) 旬のニュース 

 

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 上の写真をご覧ください。マグロは大きく分けて4種類いあり、一番おいしくて商品価値が高いのがクロマグロ(本マグロ)、目がパッチリ<メバチマグロ>、お腹の一部とヒレがが黄色い所から<キハダマグロ>、ビンが長いから<ビンナガマグロ>。クロマグロの刺身は紅い深み(深紅色)のある色、メバチの刺身はもう少し薄い紅色で身も柔らかめです。キハダはもっと身が柔らかく鮮紅色(透明感のあるピンク)、ビンナガは冴えない赤色で刺身としては商品価値が御座いません。

 

Tatujinは釣りと刺身が大好きです。それが理由で2000年から~2005年までバルセロナで<マグロ屋>を経営していました。当時は1年間中央市場に通いマグロの買い付けと鑑定の勉強をしました。魚屋は正に海千山千でマグロの良い時はハッキリ言いますが、良くない時は黙秘権を使います。そんな訳で最初は随分高い鑑定料を払わされました。一番多い問題は<妬けマグロ>、そして刺し傷、病気(腫瘍の塊)、マグロの処理を知らないスペイン人の漁師は網の中で大暴れをさせ、マグロの体温が80℃位まで上昇し、その熱が体内に残り身の色がドドメ色になり、これを業会で<妬けマグロ>と呼び商品価値がありません。幸運なことに途中で日本人のマグロ鑑定士と知り合い、みっちり修行をして1年後には10メートル先から見ても分かるようになりました。

これまで地中海で揚がった最大マグロは500kgと言う記録が残っています。世界最大は700kgとも書いてあります。サバは読んでいません(笑い)。マグロはサバ科の魚です。あの小さいサバが進化を遂げて700kgになるとは想像できません。

地中海の本マグロの産卵場所はバルセロナとパルマデマジョルカの間と言われています。ここにマグロが産卵に必要な水温、水深、水質(プランクトン)があるようです。地中海マグロは生まれた後大西洋に出て泳ぎ回り、死ぬまで泳ぎます。と言うのはマグロは泳ぎながらエラで酸素を補給します。止まる事イコール死ぬことになります。マグロにも回帰本能があり、1年に一回必ず地中海に戻ってきます。5~6月にかけて押し合い圧し合いで14kmのジブラルタル海峡を通過してバルセロナ沖にやってまいります。これからバルセロナ近郊の漁港では産卵前の脂の乗った美味しいマグロが沢山揚がります。Tatsujinもこれまで何百匹と言うマグロ試食しましたが、マグロだけは食べてみないと分かりません。色と艶が良いから美味しいとは断言できません。

産卵した後8月ころに獲れるマグロは栄養失調?(こんにゃくマグロ!)で美味しくありません。この栄養失調を捕まえ生簀に入れて人口餌を与えて生まれたのが全身トロマグロです。以前は日本にも輸出されていましたが、現在は日本の厚生省からストップがかかり、日本では食べれません。Tatsujinも全身トロマグロを食べたことがありますが、頭の先から尻尾まで、どこを食べてもトロでした。通常150kgを超すマグロは噛み切れない筋が残りますが、全て口の中で蕩けるます。

雑談になりますが——魚も人間も同じ回帰本能? Tatsujinも1年に一回生まれ故郷の島根県まで一生懸命帰ります。特に何もありませんが、自分の生まれた場所を確認して、またバルセロナに帰ってきます。マグロ釣り船も御座います。6時間で600ユーロ、5人乗り(2013年の料金)